公開日:2020年2月28日 最終更新日:2020年2月28日
結婚式は「嫁ぐ」や「家族の愛」を確認する日。「結婚式は新郎新婦だけのものではない」と、ブライダル業界のトップである桂由美先生のユミカツラブランドのパンフレットに掲載された、ウエディングデザイン ルーチェ代表の新矢ヒカルさんはおっしゃいます。
桂由美先生から教わった「ふるさとウエディング」の基本
Q. 桂由美先生の「ふるさとウエディングへの想い」!とても興味深いです!
A. 地域やそれぞれの「家の考え方」で違いもあるかと思いますが、桂由美先生が提唱している「ふるさとウエディング」は、昔の日本の結婚式のスタイルはもちろん、結婚式までの一連の流れを含めたものなのです。
たとえば、ご先祖様への報告としてお墓参りし、自宅で家族に見守られながら「花嫁支度」をする。そして、ご近所の方に祝福してもらう。それが、結婚式が「晴れの日」といわれていた由縁です。
桂由美先生は、「昔は自宅で「花嫁支度」をやっていたから、またそうなったらいいのにね。いまはマンションだし、会場でのお仕度が一般的になって、何十人かのゲストにだけにしか「晴れ姿」を見てもらえないから残念よね…」ということを淋し気に何度も、何度もおっしゃっていました。
そういえば私も小さい頃に、母から「どこどこのお姉さんが今度の日曜に結婚式なんだって!」と聞くと、その日は早起きをして、「お姉さんが花嫁になって出てくる姿」を、いまかいまかと待ち構えていたな…と。
ご自宅での「花嫁支度」は、「お嫁に行く」という気持ちをつくっていく、「家族の心の葛藤」が感動的!
Q. いまでも自宅で「花嫁支度」はできるものなのですか?
A. 私たちには年に1~2組、ご自宅での「花嫁支度」があります。
ホテルや結婚式場での結婚式は「お支度部屋」があり、新郎新婦がわいわいお支度するのも楽しくていいと思いますが、ご自宅での「花嫁支度」を拝見していると、「あぁ、桂由美先生がおっしゃっていた本来の結婚式とは、こういうものなんだな…」と感じます。
Q. 具体的に、どういうことなのですか?
A. 自宅での「花嫁支度」は、リビングでされる方が多く、お支度が整うまでの時間に家族の心のストーリーが展開されます。
たとえば、家庭のいつもの空気の中に、「嫁ぐ娘」を複雑な心境で見守るお父様の淋しい気持ち。兄弟姉妹様の「あ、キレイ!」というワクワク・ニコニコした雰囲気があり、お母様が娘を見る「誇らしげな表情」からだんだん「淋し気な表情」に移る心の葛藤。
お支度部屋となったリビングは、最初は賑やかだったのに、だんだん会話がなくなって凛とした空気に移り変わり、親御さんの気持ちを察して花嫁さんも黙ってしまう…
家族それぞれの「お嫁に行く」っていう気持ちが、だんだんできあがってくるのが「お支度の時間」なのです。
そして、お支度が整うと、親子が目線を交わし合いながら心の葛藤を感じ合う。お父様が「そろそろ時間だな…」とお母様に囁かれ、淋しそうにみんなを促す。
私たちプランナーは、すべてを察し、黙って見守ります。これは、プランナーにしか見られない光景です。
昔の結婚式がお家でお支度だった大きな理由は、「嫁ぐ」という気持ちをつくっていくために「お家でお支度」をしていたのだと思います。
Q.お話を伺っているだけで、ジーンとします…
A.そうですよね。感動的な光景です。
その様子を見ていた妹様や親戚の女の子たちが、「私も花嫁さんになりたい!」と思うようになります。これが昔から繰り返される「結婚式への憧れ」を抱く瞬間なのだと思います。
そんなとき私たちプランナーは、「結婚式は新郎新婦だけのものではない…」という気持ちが強くなります。
それぞれの立場での「結婚式」を考えると、自分たちらしい結婚式のカタチが浮かび上がる
結婚式を挙げるカップルは、結婚式を「自分事」としてだけ捉えがちですが、いままでひとりのチカラで生きてきたわけではなく、結婚式は家族の想いを確認する日。
そして「夫婦」ということで社会的に認められる立場になり、周りの人に報告・感謝・恩返しをする日。この人と幸せになるんだと決意する日でもあります。
またご両親にとって、結婚式や披露宴・会食の場は「自分たちの子育ての卒業式」。
それぞれの立場で「結婚式」を考えると、「自分たちらしい結婚式のカタチ」が浮かび上がってきます。様々な結婚式のスタイルから、自分たちらしいスタイルを選択したいですね。
【取材協力】
ウエディングプランナー
ウエディングデザイン ルーチェ 代表 新矢ヒカルさん
25年の業歴の後、桂由美ウェディングプロデュースのチーフプランナー就任、その後独立。「花嫁のために」という桂由美先生から学んだプロデュース手法・ホスピタリティが好評。ゼクシィ主催のコンテストなど受賞・メディア掲載多数。
取材・文 / エルシーラボ編集部