公開日:2020年5月7日 最終更新日:2020年5月7日
「脳は否定形を理解できない」 自己啓発などの本で良く使われる言葉です。「否定形で物事を考えると、それを意識してしまい、否定形で考えた行動をしてしまう」といわれています。今回、新型コロナウイルスによる政府からの自粛要請のメッセージを、この考え方に当てはめて紐解いてみましょう。
脳は否定形を理解できない
「脳は否定形を理解できない」 これは、あるドラマの中のセリフですが、「否定形で物事を考えると、それを意識してしまい、否定形で考えた行動をしてしまう」といわれています。
「だから、物事は肯定系で考えよう!」というものだけど、これを新型コロナウイルス対策で発信されているメッセージで考えると、「なるほど!」と納得がいくのではないでしょうか。
たとえば、政府が「不要不急の外出を自粛する」という発信をおこないましたが、政府が掲げる「最低でも7割、極力8割の接触減」が届くには時間がかかりました。
では、なぜ、この大切なメッセージが国民に届くのに時間がかかったのでしょうか?
届かないメッセージ1 「不要不急の外出を自粛する」
「不要不急の外出を自粛する」というメッセージを分析してみましょう。
メッセージは「不要不急」という言葉から始まりますが、この「不要不急」という言葉は「必要ではない、急いではいない」という意味の否定形です。
それゆえ、メッセージを受け取った私たちは「外出自粛」よりも「不要不急」が耳に残り、「必要ではない、急いではいない」を意識して行動してしまうのです。
政府から発信されたメッセージで大事な部分は「外出自粛」のはず…
では、このメッセージの大事な部分の「外出自粛」が伝わり切らず、今一歩の成果に留まってしまった理由は、「不要不急」という否定形を意識したことにより、「この外出は不要不急ではなく、必要な外出だからグレーゾーン」という解釈の隙間を招いてしまったことが原因なのではないか…と考えられます。
届かないメッセージ2 「最低でも7割、極力8割の接触減」
「最低でも7割、極力8割の接触減」のメッセージを考えても同じ図式です。
「最低でも」の意味は、「満足できないものの、これだけは実現させたいという願望を表す表現」というもので、否定形のイメージがある上、このメッセージのゴールが「最低でも7割」にすり替ってしまってはいないのか?と感じます。
「ゴールを数値化して設定する」というとき、「人はゴールが見えた8割の地点で気を緩めて行動を止めてしまう…」という現象がおきます。
「ここまでできたから、ま、いいか…」という心理に包まれ、気の緩みが起こる。目的達成の最大の敵が、この「気の緩み」です。
伝えたいメッセージを発信するときは「肯定系」で伝えよう!
新型コロナウイルスで世界各国のリーダーが放つメッセージを見ても、回りくどいメッセージより、ストレートなメッセージの方が人の心に届くように感じます。
もしあなたが、周りの人に伝えたいメッセージがあるのなら、これらの例を教訓に「脳が理解できない否定形」ではなく、「脳が理解できる肯定系」で伝えてみましょう。
構成・文 / エルシーラボ編集部
【エルシーラボ編集部】
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