公開日:2020年2月28日 最終更新日:2020年2月28日
アラフォー女性にとって、シングルなのか、既婚なのか、子供がいるのか、いないのか、また親の介護が必要なのか…と、様々な生活パターンでお金の悩みと働き方が変わってきます。
「いったい、これから、どれくらいのお金が必要なのだろう?」と、心配なアラフォー女性も多いはず…
アラフォー女性のお金と働き方の悩み
「人生100年時代と言われるなか、アラフォー女性からの相談が多くなっています。
いま目の前にある悩みを解決することも大切ですが、起こりうる将来についても考えてみることアドバイスしています。たくさんの選択肢があると同時に、たくさんの選択肢を残しておきたい世代ですね」と、ファイナンシャルプランナー大竹麻佐子さん。
アラフォー女性のお金と働き方の悩みを伺いました。
アラフォー女性のお金と働き方の選択肢として、「正社員で働く」と「パートで働く」がありますが、将来を見据えて考えると、どちらがいいのでしょうか?
「ファイナンシャルプランナーの私の回答は「正社員で働く」です」と、大竹さん。
「正社員で働くことを軸としつつ、子育て時期・介護の必要性・趣味や夢の実現にむけた取り組みなど、想いや背景を考慮し、一定の時期にパート就労を選ぶという選択肢は、有効だと思っています。
これまでの個別相談のなかで、相談者の方が抱くそれぞれ「働き方」のイメージは以下の通りです。
【正社員】
決められた時間をフルタイムで働く、時間の拘束がある、自由な時間がない、責任ある仕事、やりがい、達成感、スキルアップできる、収入が多い、賞与がある、退職金がある、安定している。
【パート社員】
短時間、残業なし、曜日が選べる、補助的な仕事、収入が少ない、扶養の範囲で働く。
偏った意見かもしれませんが、多くの方が感じているイメージかもしれません。
2020年4月1日より施行される「パートタイム・有期雇用労働法(旧名称:パートタイム労働法)」では、同じ会社で同じ仕事をする正社員とパート社員(契約や派遣などの非正規労働者)との間で、”基本給” や “賞与” などのあらゆる待遇の不合理な格差を禁止することを定めています(中小企業は、2021年4月1日施行)」
国の制度改正や時代の変化で、どのように働く環境が変わってきているのでしょうか?
「少しずつですが、時代の変化とともに、働く側、企業側、どちらも変化しつつあり、正社員とパート社員との垣根が低くなってきました。
「仕事をして対価を得る」という点では、パートも正社員も、責任をもって取り組むのは同じことなのですが、違うのは「責任の範囲」「影響力・エネルギーやストレスの大きさ」です。それが、報酬に繋がります。
待遇だけの損得勘定ではなく、「どう働くか」についてアンテナを張り、時間を有効に使い、「スキルアップのための自己投資」も考えてみましょう。
仕事を選ぶ観点として、「人生において“プラスになる体験”ができるかどうか」を基準にしたら良いのでは?と思います」
「女性活躍推進」などの女性の社会進出を考えると、扶養の範囲内で働いた方がいいのかどうかが、悩みどころなのですが…
「ここ数年の税制改正により、“扶養内”の上限額が引き下げられ、要件は厳しく、ますます複雑になっています。この流れは、今後さらに加速すると予測されます。
なお、妻が収入を103万円以下に抑えたとしても、夫の所得によっては、配偶者控除に制限されます。
2020年度改正より、所得が900万円(年収1120万円目安)を超えると、配偶者控除額が段階的に減り、所得1,000万円を超えると、控除額はゼロになります。
控除額(収入から差し引くことのできる額)が小さくなると、課税所得金額(税額計算の根拠となる金額)が大きくなり、結果的に税負担が高くなります。つまり、手取りが減るのです。
ここで押さえておきたいのは、これまで優遇されてきた専業主婦や扶養内で働くパート主婦に対し、政策として「女性の社会進出」を促し、税金を納めることで、超高齢社会への財源を確保したい意図があることということです」と、大竹さんはおっしゃいます。
話題になった「年金問題」も切実な不安材料。正社員で働くことを勧める理由は、将来受け取れる「厚生年金」がプラスされるからですか?
「年金(老齢年金)は、退職後の主な収入源となります。少子高齢化が進むことで今後の制度存続を不安に感じる方も多いのですが、とはいえ、「一生涯受け取れる」というのは魅力です。
公的年金制度のなかで、会社員(正社員)は第2号被保険者に該当し、基本的に「2階建て」構成です。1階部分の老齢基礎年金に、2階部分の老齢厚生年金が上乗せされます。
保険料は、労使折半(雇用主と従業員で半分ずつ負担)で納め、その額は、給与(正しくは報酬月額)によって決定します。
給与明細を見ると、その金額にため息をつくこと多いかもしれませんが、将来受け取る年金を増やすため、と見方を変えてみましょう。
一方、扶養範囲内で働くパート社員は、第3号被保険者に該当し、保険料を納める必要ありませんが、上記の1階部分のみですので、20歳から60歳までずっと第3号被保険者であった場合、65歳以降に受け取る年金は、老齢基礎年金のみです。
退職後のお金の不安を減らすためにも、働ける時期に「正社員で働く」をお勧めしています」
アラフォー女性のお金と働き方を考えるとき、「いま」だけではない、将来を見据えて準備するのに大事な時期
「人生100年時代にむけて、人生をトータルで考えてみることお勧めします」と、ファイナンシャルプランナー大竹麻佐子さんはおっしゃいます。
アラフォー女性は「いまのこと」「将来のこと」、両方を考えながら働き方を選択する必要がある時期なのかもしれません。
今後も国の制度が変わる可能性があるいま、アラフォーのうちに、後悔しない価値観と判断力を身につけて、退職後の生活を不安のないものにしましょう。
【取材協力】
ファイナンシャルプランナー(CFP) 大竹麻佐子さん
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て独立。二児の母でもあり、「家計管理に役立つかも?」とFP資格取得。個別相談、講師、執筆活動を通して「お金に向き合う」「より豊かに自分らしく」を全力でサポートします。
取材・文 / エルシーラボ編集部