公開日:2020年2月28日 最終更新日:2020年2月28日
「人見知りで上手く話せない」「会話が途切れてしまう」「人前だと緊張してしまう」など、コミュニケーションの悩みは、ほとんどが人間関係の悩みです。コミュニケーションは相互作用。「質問力」と「咄嗟力」を磨けば、あなたも相手の懐に飛び込んでいける、説得力のある話し方ができるようになります。
コミュニケーションの悩みで一番多いのが「人間関係」
現在、コミュニケーション・スピーチトレーナーとして全国で企業研修や講演講師を務める、元RKB毎日放送のリポーター、加藤あやさんに「コミュニケーション」のお話を伺いました。
「SNSの発展が目まぐるしい世の中ですが、それでもやはり私たちは人間。
会って顔を見て、目を見て会話をし、お互いの意思や感情を理解し合ったり共有したり、ときにはぶつかり合ったりします。そうやって私たちは人間関係を築いています。そしてそれは、生きている限り避けては通れないものです。
実は、コミュニケーションでのお悩みの中で一番多いのが「人間関係」なのです。
- 人見知りをどうにかしたい
- 営業先で相手の懐に飛び込んでいける上手な会話力が欲しい
- 会話が途切れない雑談力を身に付けたい
- 人前で緊張せずに堂々と話せるようになりたい
- 説得力や威厳のある話し方を身に付けたい
人間関係がストレスで転職したり、体調を崩す人が増えているといわれている現代。少しでもこのようなストレスを減らして、日々の業務に取り組みたいですね」
そもそも私たち人間は、分かり合えないもの同士の集まり
「コミュニケーションは相互作用です。お互いのやり取りが会話をつくっていきます。
「自分の希望」「自分の主張」だけで成り立っているのではなく、「目の前の相手と、いかに関わっていきながら、その場をつくっていくか?」、これに尽きます。
とはいえ、頭では理解していても、なかなか実行できないのが私たち人間。なぜなら、私たちは自分の思うように物事を進めたいからです。
しかし、そもそも私たち人間は、分かり合えないもの同士の集まりです。生まれ育った環境も、価値観も、考え方も捉え方も違いますし、分かり合えなくて当然なんです」
コミュニケーションは相手の「ちょっと◯◯」を刺激しよう!
加藤さんいわく、「コミュニケーションは相手の「ちょっと◯◯」を刺激させたもの勝ち!」なのだそうです。
「分かり合えないもの同士の私たちが、コミュニケーションを円滑に・快適にとっていくにはどうしたらいいのでしょうか。それは、「目の前の相手のことを考えること」です。
「この話をすれば、相手はちょっと喜ぶかも」
「○○さんは話し好きだから、ちょっとオーバーにリアクションしながら話を聴こう」
「今日は商品説明より、お互いを知る雑談の時間を多くつくる方が良いかも」
こんなふうに、コミュニケーションの相手の気分が、「ちょっと良くなること」や「ちょっと良くなるであろうこと」を自ら実行するだけ。
状況や相手にもよりますが、できるだけリラックスした雰囲気の中で会話を進めていきたいとき、この「ちょっと◯◯」があなたの肩の力を抜いてくれ、良い雰囲気で会話が進んでいきます。
そのためには、「質問すること(質問力)」と「咄嗟に反応すること(咄嗟力)」の2つがカギになります。
この2つが身につけば、驚くほどコミュニケーション上手になりますし、人前で話す時にも役に立ちます」と、加藤さんはおっしゃいます。
相手にシンプルに話してもらうための「質問力」
「質問力は、「シンプルに相手に話してもらいましょう」ということ。
「話を聴いて欲しい」「理解して欲しい」「認めて欲しい」「褒めて欲しい」「受け容れて欲しい」という「〇〇して欲しいの塊」が人間です。
コミュニケーションが上手くいかないのは、自分の「〇〇して欲しい」が満たされないからなのです。
であれば、まず先に相手の「〇〇して欲しい」を満たせば、相手は満足します。もしかしたら、そのお返しとして、あなたの「◯◯して欲しい」を叶えてくれるかもしれません。意識と努力と工夫で、あなたの願いに近づくことは可能です。
そのためには、自分が一方的に話すのではなくて相手に話してもらうこと。そして、その話を最後まで遮らず、しっかりと聴いて受け止めること。
相手の望んでいる「◯◯して欲しい」を直接満たすことはできないにしても、相手の「話を聴いて欲しい」「理解して欲しい」を満たすことは充分できますので、コミュニケーションはスムーズになります。
しかし、これだけでは話を聴くだけで終わってしまいますので、ここに「あなた発信の【質問力】を追加しよう!」ということです」
咄嗟に何を言うか、咄嗟にどう振る舞うか、「咄嗟力」を身につけよう!
「「咄嗟力」は、私の’年間生放送出演日数・300日以上’の経験がベースになっています。
みなさんがご存知のように、生放送ではやり直しが出来ません。「そのときに何を言って、どう振る舞うのか」で評価されます。コミュニケーションも同じですね。
スピーチやプレゼンテーションのように事前に原稿や台本を準備できませんし、流れを想定していても思い通りに進むことなんてありません。
咄嗟に何を言うか、咄嗟にどう振る舞うか、そのときの、その瞬間が大事なんです。
「アドリブでその場を盛り上げる」「笑顔で反応する」「代替え案を出す」「質問をする」と、なかなかレベルが高い気もしますが、練習次第でこの咄嗟力のスキルは、どなたでも身につきます」
コミュニケーションのポイントは、「相手視点であること」「いかに相手と関わるかを考えること」
「この「質問力」も「咄嗟力」も、要は相手視点になっているだけのことです。
コミュニケーションと聞くとどうしても「話すこと」に気を取られがちですが、「いかに相手と関わるか」を1番に考えるだけで良いです。
- 滑舌が悪い
- 話が長くなる
- 話にまとまりがない
- 説明が下手
というような自分主体ではなく、
- 相手がちょっとだけ満足してくれるには?
- 相手との距離がちょっと縮まるには?
相手主体の考えにシフトしていきましょう。コミュニケーションの質がきっと変わっていきますよ」
【取材協力】
コミュニケーション・スピーチトレーナー
Act communications代表 加藤あやさん
大学卒業後RKB毎日放送リポーター、天神エフエムパーソナリティーを約3年間務める。その後、研修会社の講師を経て2014年に独立。現在は企業研修、個人レッスン、講演にて話し方等を指導。また司会業もこなす。
マンがでわかるあがらない技術 加藤あや監修 (鋤谷亜弥)
取材・文 / エルシーラボ編集部